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マニアにしかわからない?
「超美術トマソン」を知っていますか?

カルチャー

2019.12.26

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東京在住 Fiのおすすめ!
ローカルな日本の楽しみ方

この記事を書いたライター

Fi

Fi

こんにちは、イギリス出身のFiです。
日本に4年住んでいます。日本の料理が大好きです。

新宿のネオンや高層ビル群から、京都の美しい竹林まで、日本の都会と自然、その両方の魅力は世界的に有名です。
もちろん、私はそのどちらも大好きなのですが、今回はそれらの観光名所とは違う、 日本人にも見過ごされている「日常の中の美術作品」を紹介します。

日本の道を歩くと、近代的で無駄がないデザインのぴかぴかの建物があるかと思えば、 そのすぐ隣に曲がった軒がついた古い木造の建物があったりして、その違いをひとつひとつ見て歩くと飽きることがありません。

住宅地は常に変化していて、私の家の周辺でも工事をしていない時がないほどです。 あちこちで建物の工事が行われているため、時には意図せずにおもしろい風景が生み出されることがあります。

そんな風景を美術の一つのジャンルとみなして、1980年代に「トマソン」という名前をつけたのが、日本の芸術家、赤瀬川 原平(あかせがわ げんぺい)です。

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地上に降りられない階段

写真:ウィキペディアより

「トマソン」って一体、なに?

「トマソン」とは、壊れた建物や、建物の一部の機能だけが残された時に見られる「無用の長物」、「存在している意味がわからないもの」を指す言葉です。

計画的に作られたものではなく、たまたま残った建物の一部が「偶然の彫刻作品」のように見えるのです。中にはきれいに掃除されたり、 ペンキが塗り替えられたりして、あたかも芸術品のように保存されているものもあります。

トマソンの「作品」は、全くの偶然から生まれた役に立たないものなのに、その美しさと高い美術性で、意図的に作られた芸術よりももっと芸術らしい=超芸術(ちょうげいじゅつ)と呼ばれているのです。

あなたもこんな風景をどこかで見たことがありませんか?

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どこに行く階段なの?(香川県)

写真:ウィキペディアより

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なんのためのトンネル?(徳島県)

写真:ウィキペディアより

なぜ「トマソン」という名前なの?

実は芸術とは全く関係のない、アメリカの野球選手にちなんでつけられた名前なのです。

ロサンゼルス・ドジャーズをはじめ、メジャーリーグの選手だったゲーリー・トマソン(Gary Thomasson)は、1981年、多くの期待を集めて読売ジャイアンツに破格の契約金で入団しました。しかし、成績は2シーズン連続でぱっとせず、監督とトラブルも起こしたため、2年目で解雇されたという選手です。

空振りばかりなのに、4番打者として打席に立たされ、やはり空振り…。その名前は、「良い扱いを受けている(美しく保存されている)のに、結局は何の役にも立っていない」という概念を表すのにぴったりだと、赤瀬川たちによってこの芸術を指す言葉として選ばれたのです。かわいそうなトマソン!

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ゲーリー・トマソン

トマソンの作品は日本だけではなく世界中で見つけることができますが、特に住宅地で工事の多い日本でよく見られます。

私も旅行先でトマソンを見つけたので、いくつか紹介します。
あなたの周りにも、いつもは見落としているトマソンが隠れているかもしれませんよ。ぜひ探してみてください!

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開かないドアと、不思議なでっぱり

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どこにも行けないドア

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